このページでは研究室の様子と、卒業研究テーマなどの研究内容についてわかりやすくお伝えします
光ファイバについて
機能光回路研究室は、光ファイバを利用した新しいレーザーや光装置の研究を進めています。
光ファイバは、多くは直径が0.125mmの、髪の毛ほどの細いガラスの繊維でできていて、その断面は、光が通るコアと、それを囲むクラッドと呼ばれる二重の構造を持っています。光通信で用いられているファイバのコアは、直径が1/100mmしか有りません。
光ファイバを利用して光を伝えると、ガラスの繊維に光が閉じ込められた状態なので、とても自由に光を導き、外部の環境変化などの影響を受けにくい、安定な光の回路を作ることができます。
下の写真は、直径約20cmのボビンに巻かれた光ファイバに赤色のレーザー光を入射し、ファイバが光る様子を撮影したものです。(普通のファイバは光が外に漏れないことが望ましいので、ほとんど光りません)
研究室のこと
研究室では、大学院生が本格的な研究を行っています。四年生の皆さんは、研究室に配属された直後は右も左もわからない状態なので、先輩や先生から手ほどきを受けながら実験を進めていきます。それでも、12月頃になると研究内容にも精通し、ずいぶんと成長されます。
別のページにも書きましたが、大学の研究室の目的は以下の二つと考えています。
(1)社会に役立つ研究成果を上げる
(2)学生の皆さんを社会に送り出す
どちらが大事かと問われれば、もちろん、(2)です。
卒業研究は、学生の皆さんを社会に送り出すための最後で最強のトレーニングとなります。
また、研究室は、皆さんが社会に飛び出す前のカタパルトでもあります。カタパルトを利用して十分な初速度を与えれば、支えから飛び立った後でも(少なくとも飛び立った直後は墜落することなく)自由に飛行できるはずです。
ただ、研究だけが学生の仕事ではありません。社会に出る前の猶予期間を利用して、学生の間でなければ実現が難しいことを実行できるのも学生時代の特権です。是非、今しかできないことで ・・・もちろん本分である研究を通じてしっかりと多くを学んだ上で・・・ 充実して下さい。
機能光回路研究室では、学生生活最後の春休みを上手に利用する伝統(?)があります。
もちろん、夏休みも有効に活用して下さい。
光増幅について
光通信の伝送路は光ファイバです。光ファイバは低損失ですが、長い距離を伝送するためには伝送途中で光を増幅しなければななりません。従来は、光信号を一端
電気信号に変換して増幅していましたが、現在では光のまま増幅する技術が主流となっています。
光を光のまま増幅するためには、光を増幅するための特殊な光ファイバを用います。波長1550nmの通信波長域では、ファイバのコアに希土類元素の一つであるErをドープしたファイバを利用しています。このファイバを「Erドープファイバ」(EDF
: Er-doped fiber)と呼びます。
EDFを用いると、ファイバの中に閉じ込められた光を利用して波長1550nm帯のレーザーを作ることができます。
最近では、1000nm帯で光を増幅するYbドープファイバを利用したファイバレーザーが産業用途に大量に導入されています。
機能光回路研究室では、この光ファイバ増幅技術を重要な技術の一つとして活用しています。
学会発表のこと
特に、院生になると研究は大学の中だけで閉じることなく、外に出て学会などで研究発表を行います。その結果として、プレゼン能力を高められると共に、質疑応答にも慣れてきます。(学会における五分間の質疑応答だけで慣れるのではなく、そのような場を日頃から想定することが大切だと考えます)
また、知らない土地を訪問したり、研究分野の近い研究者と親しくなったり、学会開催地でおいしい物を食べに出掛けたり、きっと楽しい経験を積むことができると思います。ことに、外部の方とお話をすることは、就職活動の際にも役立つことでしょう。
表彰のこと
機能光回路研究室では、毎年の様に院生の学会発表に対して学会から表彰を頂いています。頑張った結果に対して、良い成果を上げたと認めて頂けるのは、とても有難いことです。(例えば、「できごと」の 2014年4月を御覧下さい)
詳細は、「研究内容の紹介」も御覧頂きたいのですが、大きく分類すると下記の分野について研究を進めています。
・高出力ファイバレーザーの研究
・短パルスファイバレーザーの研究
・ファイバおよびレーザーの測定をはじめとする各種装置の研究
などです。
研究テーマを自分で決めることもできますが、四年生の場合は先生と相談して選ぶことが多いでしょう。
また、他大学にとの共同研究に参画する場合もあります。例えば、現在、大阪大学と共同で進めている研究テーマは概ね以下の通りです。「共同研究」も参照下さい。
・新しい材料で作る、光ファイバの研究
・従来には無かった波長で発振するファイバレーザーの研究
・高性能なファイバレーザーの研究
・レーザー材料(増幅媒質、ガラスやミラー)の研究
・次世代半導体産業用の極端紫外(波長13.5nm)光源の研究
・TiO2(酸化チタン)などに新しい機能を発現させる、材料制御技術の研究
共同研究のテーマを続けるために、他大学の大学院を受けられる方も大勢居られます。なお、他大学におけるそれぞれの研究場所では、既に機能光回路研究室の先輩達が研究をされていることがほとんどなので、心細い思いをすることは無いと思います。
4年生の皆さんと大学院生の皆さんが制作して下さった研究室紹介動画です。光ファイバや光通信のしくみがわかりやすく理解できるように作られています。
「高学年の方に向けた動画」は、学部三年生以上の方に向けて作っています。
それよりも下にある動画は、わかりやすく光の基礎について解説をしています。
高学年の学生の方に向けた動画
光による情報伝送とその課題
光を伝える仕組み (全反射について)
透明体を全反射で伝わる光
波長多重通信 (大容量伝送のために)
研究室はこんな感じ
大学院進学後のテーマは、卒業研究に準じることが多いですが、新しいテーマに挑戦するためにテーマを変更することもあります。二年間の研究テーマのスタートラインを決めるのですから、よく考えて、また、先生ともよく相談して、興味深いテーマを選んで下さい。もちろん、途中で方向性を調整することもあります。
大学院への進学
大学院、博士前期課程(修士)への進学は、いくつかの試験が予定されますので準備をする必要があります。代表的な試験の概要を下に示しますので参考になさって下さい。
・学内推薦: 6月 願書提出、7月 面接
・学内入学選考:8月 願書提出(TOEICスコア)、9月 試験 面接
・一般入学選考:8月 願書提出(TOEICスコア)、9月 試験(専門) 面接
1月 願書提出(TOEICスコア)、2月 試験(専門) 面接
・他大学の例: 7月 願書提出(TOEICスコア)、8月 試験(数学、専門) 面接
機能光回路研究室を卒業された方々の主な進路をメモします
他大学の大学院等へ進学された方々から頂いたご報告も<>内に併記します
みなさんが良き社会人として活躍されることを心より願っています
・令和7年度卒業生・修了生の皆さん
学部
修士 住友電気工業(株)、古河電気工業(株)、ギガフォトン(株)(二名)
・令和6年度卒業生・修了生の皆さん
学部 三菱電機システムサービス(株)
近畿大学大学院博士前期課程(4名)、大阪大学大学院博士前期課程(2名)
奈良先端科学技術大学院大学
修士 ギガフォトン(株)、三菱電機(株)、ナルックス(株)、(株)デンソーテン
<西日本電信電話(株)>
・令和5年度卒業生・修了生の皆さん
学部 明星電気(株)、(株)ロココ
近畿大学大学院博士前期課程(4名)、大阪大学大学院博士前期課程(2名)
修士 古河電気工業(株)、タツタ電線(株)、日星電気(株)
・令和4年度卒業生・修了生の皆さん
学部 近畿大学大学院博士前期課程(5名)、大阪大学大学院博士前期課程(1名)
奈良先端科学技術大学院大学
修士 (株)アマダ
・令和3年度卒業生・修了生の皆さん
学部 中央電設(株)、(株)SHIFT
近畿大学大学院博士前期課程(3名)、大阪大学大学院博士前期課程(1名)
修士 三菱マテリアル(株)、古河電気工業(株)、味の素(株)
<ギガフォトン(株)>
・令和2年度卒業生・修了生の皆さん
学部 光洋機械工業(株)、(株)サンコー、テラテック(株)、大阪市教育委員会
近畿大学大学院博士前期課程(3名)、大阪大学大学院博士前期課程(2名)
奈良先端科学技術大学院大学
修士 古河電気工業(株)、日立造船(株)、東洋製罐グループホールディングス(株)
<日本特殊陶業(株)、パナソニック(株)>
・令和元年度卒業生・修了生の皆さん
学部 古河電気工業(株)、(株)きんでん、(株)メイテック、(株)トラストシステム
近畿大学大学院博士前期課程(3名)、大阪大学大学院博士前期課程(1名)
修士 古河電気工業(株)、ギガフォトン(株)、浜松ホトニクス(株)
・平成30年度卒業生・修了生の皆さん
学部 京セラドキュメントソリューションズ(株)、(株)片岡製作所
(株)エスティック、(株)デンソーテンテクノロジー
近畿大学大学院博士前期課程(2名)、大阪大学大学院博士前期課程(2名)
修士 古河電気工業(株)、日本電産(株)、東洋製罐グループホールディングス(株)
(株)ジェイテクト、(株)アマダ、三菱電機プラントエンジニアリング(株)
<パナソニック(株)、(株)NTTドコモ、東芝三菱電機産業シ
・平成29年度卒業生・修了生の皆さん
学部 京セラドキュメントソリューションズ(株)(2名)、ダイトロン(株)
近畿大学大学院博士前期課程(3名)、大阪大学大学院博士前期課程(2名)
修士 IDEC(株)、古河電気工業(株)、日本電産(株)、スペクトロニクス(株)
<ギガフォトン(株)>
・平成28年度卒業生・修了生の皆さん
学部 三菱電機ビルテクノサービス(株)、富士通フロンテック(株)
近畿大学大学院博士前期課程(6名)、大阪大学大学院博士前期課程(2名)
奈良先端科学技術大学院大学
修士 (株)フジクラ、パナソニックデバイスSUNX(株)(2名)、神島化学工業株式会社
近畿大学大学院博士後期課程、<(株)日立製作所>
・平成27年度卒業生・修了生の皆さん
学部 菱電工機エンジニアリング(株)、三菱電機特機システム(株)
近畿大学大学院博士前期課程(4名)、大阪大学大学院博士前期課程(1名)
修士 日星電気(株)、(株)アマダ、<川崎重工(株)、ヤマザキマザック(株)>
・平成26年度卒業生・修了生の皆さん
学部 三菱電機ビルテクノサービス(株)、(株)NTTフィールドテクノ、三菱電機エンジニアリング(株)
京阪電気鉄道(株)、プライミクス(株)
近畿大学大学院博士前期課程(4名)、大阪大学大学院博士前期課程(1名)
修士 (株)アマダ、三菱電機(株)、三和シヤッター工業(株)、IMV(株)
<ダイキン工業(株)、オムロン(株)>
・平成25年度卒業生・修了生の皆さん
学部 積水ハウス(株)、栗原工業(株)、協和テクノロジィズ(株)、菱電工機エンジニアリング(株)
(株)ダイキンアプライドシステムズ、行田電線(株)
近畿大学大学院博士前期課程(2名)、大阪大学大学院博士前期課程(2名、<1名>)
修士 IDEC(株)、島津アクセス(株)、京セラドキュメントソリューションズ(株)、(株)アマダ
パナソニックフォトライティング(株)、NKSJひまわり生命保険(株)
<(株)東芝セミコンダクター&ストレージ社、(株)キトー>
・平成24年度卒業生・修了生の皆さん
学部 寺崎電気産業(株)、菱電工機エンジニアリング(株)、ウォーターパワー(株) 、(株)瑞光
日本圧着端子製造(株)
近畿大学大学院博士前期課程(4名)、大阪大学大学院博士前期課程(2名)
大阪大学レーザーエネルギー学研究センター研究生
修士 富士電子工業(株)、(株)毎日放送、<日立造船(株)>
・平成23年度卒業生・修了生の皆さん
学部 (株)ヒラノテクシード、CKD(株)、(株)HCI、寺崎電気産業(株)
近畿大学大学院博士前期課程(7名)、大阪大学大学院博士前期課程(2名)
修士 IDEC(株)、理想科学工業(株)、<日立造船(株)、新光電気工業(株)>
大阪大学大学院博士後期課程
・平成22年度卒業生・修了生の皆さん
学部 住友電装(株)、タツタ電線(株)、(株)瑞光、不二印刷(株)、(株)ワールドインテック、大明(株)
光洋サーモシステム(株)、日本圧着端子製造(株)
近畿大学大学院博士前期課程(2名)、大阪大学大学院博士前期課程(1名)
修士 中菱エンジニアリング(株)、<シャープ(株)、(株)フジクラ>
・平成21年度卒業生・修了生の皆さん
学部 三菱電機プラントエンジニアリング(株)、(株)TKC、菱電工機エンジニアリング(株)
近畿大学大学院博士前期課程(3名)、大阪大学大学院博士前期課程(2名)
徳島大学大学院博士前期課程(1名)
修士 三菱電機エンジニアリング(株)、タツタ電線(株)、西宮市、<東ソー(株)>
・平成20年度卒業生・修了生の皆さん
学部 アイシン精機(株)、(株)エヌ・ティ・ティ・データ関西、東海旅客鉄道(株)、ダイハツ工業(株)
大阪大学大学院博士前期課程(3名)
修士 <ダイハツ工業(株)、古河電気工業(株)(2名)、(株)ニコン、富士フイルム(株)>
・平成19年度卒業生・修了生の皆さん
学部 リコーテクノシステムズ(株)、ダイヤモンド電機(株)、三菱電機エンジニアリング(株)
住信情報サービス(株)、オーケー機材(株)
近畿大学大学院博士前期課程(3名)、大阪大学大学院博士前期課程(2名)
修士 ダイハツ工業(株)、<住友電気工業(株)、(株)村田製作所>
・平成18年度卒業生の皆さん
学部 矢崎総業(株)、警察庁近畿管区警察局、ビジュアルアーツ専門学校
大阪大学大学院博士前期課程(5名)
・平成17年度卒業生の皆さん
学部 (株)大塚商会、住友電装(株)、日本電通(株)、三菱電機システムサービス(株)、(株)大真空
近畿大学大学院博士前期課程(1名)、大阪大学大学院博士前期課程(3名)
・平成16年度卒業生の皆さん
学部 コムシス(株)、(株)キョウデン
近畿大学大学院博士前期課程(1名)、大阪大学大学院博士前期課程(1名)
〒577-8502
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