3Dで学ぶ電磁気学
A-7 静電容量と静電エネルギー
この回で身につける
到達目標
- 静電容量を電荷と電位差の比例係数として説明できる。
- 平行平板・同軸円筒・同心球の静電容量を形状から求められる。
- 電圧一定と電荷一定で、蓄積エネルギーの変化が異なることを説明できる。
前提知識
- Gaussの法則
- 電位差の線積分
- 誘電体の材料則
学習の順序
- 対称性から電界を求める。
- 線積分で電位差を求める。
- $C=Q/\Delta V$ とエネルギーへ進む。
電磁気学の理解実験
静電容量は、電圧を上げると増えるのか
観察ポイント: 電極形状と材料を固定し、電圧だけを2倍にしたときの $C$、$Q$、$W$ を確かめる。
操作: 三つの電極形状を切り替え、寸法・誘電率・電圧を変えて、形状が決める量と励磁が決める量を分ける。
観察した後に、定義とエネルギーで説明する
線形誘電体では $C=Q/\Delta V$ は形状と $\varepsilon$ で決まり、電圧には依存しない。電圧一定なら $Q=C\Delta V$、$W=C(\Delta V)^2/2$ である。
別問題へ: 電源を外して電荷一定にした後で電極間隔を変える場合は $W=Q^2/(2C)$ を使う。
静電容量は
\[
C=\dfrac{Q}{\Delta V}
\]
で定義されます。代表的な理想電極では
\[
C_{\mathrm{plate}}=\dfrac{\varepsilon S}{d},
\qquad
C_{\mathrm{coax}}=\dfrac{2\pi\varepsilon\ell}{\ln(b/a)},
\qquad
C_{\mathrm{sphere}}=\dfrac{4\pi\varepsilon ab}{b-a}
\]
です。蓄積エネルギーは
\[
W=\dfrac12C(\Delta V)^2
=\dfrac12Q\Delta V
=\dfrac{Q^2}{2C}
\]
であり、場のエネルギー密度を積分しても同じ値になります。
\[
u_{\mathrm e}=\dfrac12\vec E\cdot\vec D,
\qquad
W=\int_vu_{\mathrm e}\,dv
\]
可視化 A-7-1 形状・材料・励磁を分ける
電極を近づける、対向面積を増やす、誘電率を増やす操作で $C$ がどう変わるかを確かめる。
平行平板、同軸円筒、同心球を切り替え、$C$、$Q$、$W$ の数値を比較する。
まずGaussの法則で場を求め、電位差を積分し、最後に $C=Q/\Delta V$ を使う。
例題と理解確認
数値例題
$S=100\,\mathrm{cm^2}$、$d=1.0\,\mathrm{mm}$、$\varepsilon_r=4$ の平行平板へ $100\,\mathrm V$ を加える。
\[
C=3.54\times10^{-10}\,\mathrm F,
\qquad Q=35.4\,\mathrm{nC},
\qquad W=1.77\,\mu\mathrm J
\]
よくある誤解
- 線形誘電体の静電容量は印加電圧で変わらない。
- 同じ式 $W$ でも、変形時に電圧一定か電荷一定かでエネルギー変化の向きが変わる。
- 平行平板式は端効果を無視した近似であり、極板端では電界が回り込む。
確認問題
- 形状を固定して電圧を2倍にすると、$C$、$Q$、$W$ は何倍になるか。
- 同軸円筒の外半径 $b$ を大きくすると $C$ はどう変わるか。
- 電荷一定で平行平板間隔を2倍にしたとき、$C$ と $W$ はどう変わるか。
問1のヒントを見る
ヒント: $C$ は形状と材料、$Q=C\Delta V$、$W=C(\Delta V)^2/2$。
解答: $C$ は1倍、$Q$ は2倍、$W$ は4倍である。
問2のヒントを見る
ヒント: 分母の $\ln(b/a)$ を見る。
解答: $C$ は減少する。
問3のヒントを見る
ヒント: $C\propto1/d$ と $W=Q^2/(2C)$。
解答: $C$ は半分、$W$ は2倍になる。
今回のまとめ
- 静電容量は形状と誘電率が決める比例係数である。
- 対称性、Gaussの法則、電位差の順に使えば代表形状の $C$ を導ける。
- エネルギー変化は、電圧一定か電荷一定かを明記して読む。