3Dで学ぶ電磁気学
B-5 定常電流の分布と境界
この回で身につける
到達目標
- 電荷保存から定常電流の連続の式を導ける。
- 導電率が異なる界面で連続する量と不連続になり得る量を区別できる。
- 界面電荷が電界の大きさの変化を支えることを説明できる。
前提知識
- Gaussの発散定理
- 局所オーム則 $\vec i=\chi\vec E$
- 電位と電界 $\vec E=-\nabla V$
学習の順序
- 微小体積の電荷収支を書く。
- 電流密度の境界条件を得る。
- 二材料の電位分布をCanvasで確かめる。
電磁気学の理解実験
導電率が変わる界面で、何が連続し何が跳ぶか
観察ポイント: 定常電流が界面を垂直に横切るとき、$i_n$、$E_n$、電位 $V$ のうち、同じ値でつながる量と傾きが変わる量を選ぶ。
操作: 導電率比を変え、電流密度矢印と電位勾配を同時に見る。界面へ電荷が永久に蓄積する定常解になっていないかも確かめる。
観察した後に、境界条件で説明する
表面電流源がなければ電荷保存から $\vec n\cdot(\vec i_2-\vec i_1)=0$、静電界から $\vec n\times(\vec E_2-\vec E_1)=\vec0$ である。垂直通電では $i_n$ が連続し、$E_n=i_n/\chi$ は導電率に反比例して跳ぶ。
別問題へ: $\vec D$ の法線成分の跳びが表面電荷を表すことと対応させ、材料界面の電位折れ曲がりを説明する。
体積 $v$ に含まれる電荷を $Q_v$ とする。境界面から外へ出る電流が正なら、内部電荷はその分だけ減少する。
したがって局所的な電荷保存則は $\partial\rho/\partial t+\nabla\cdot\vec i=0$ であり、時間変化しない定常電流場では発散がゼロになる。
等方性材料で $\vec i=\chi\vec E$、さらに静電界 $\vec E=-\nabla V$ を用いると、電位は導電率を含む楕円型方程式を満たす。
可視化 B-5-1 界面で連続する電流と折れ曲がる電位
界面をまたぐ薄い円柱へ電荷保存則を適用すると、定常状態では法線電流密度が連続する。微小な長方形経路へ静電界の周回積分を適用すると、接線電界も連続する。
電流が界面へ垂直な一次元問題では $i_{1n}=i_{2n}=i_n$ である一方、$E_{1n}=i_n/\chi_1$ と $E_{2n}=i_n/\chi_2$ は異なる。法線電界の跳びは界面に蓄えられた表面電荷と対応する。
長さを $\ell_1,\ell_2$、断面積を $S$ とすると、全抵抗と電流密度は次になる。
等長で $\chi_2=4\chi_1$ のとき、$i_n$、$E_n$、二材料の電圧降下を同時に確かめる。
導電率比、界面位置、印加電圧、位置プローブを動かし、3D断面と区分線形の $V(x)$ を同期する。
保存される $i_n$、局所的に変わる $E=i_n/\chi$、累積される $\Delta V=\int E\,dx$ を分けて読む。
操作実験:等長で $\chi_2=4\chi_1$ の二材料を同じ電流方向に並べると?
まず電荷保存で $i_n$ を決め、次に $E=i_n/\chi$、最後に各長さで積分した電圧降下を考えてください。
同じ位置で $V(x)$、$i_n(x)$、$E_n(x)$ を追う
例題と理解確認
数値例題
$\ell_1=\ell_2=0.10\,\mathrm m$、$S=1.0\,\mathrm{mm^2}$、$\chi_1=1.0\times10^6\,\mathrm{S/m}$、$\chi_2=4.0\times10^6\,\mathrm{S/m}$、$V_0=1.0\,\mathrm V$ とする。
電流密度は両材料で同じだが、電位降下は導電率の小さい材料へ集中する。
よくある誤解
- 定常状態で電流密度が空間的に一定とは限らない。必要なのは $\nabla\cdot\vec i=0$ である。
- 界面で連続するのは法線電流密度であり、法線電界とは限らない。
- 界面電荷は過渡現象だけの量ではなく、定常な電界分布を支える場合がある。
確認問題
- 定常状態で閉曲面から出る電流の総和はいくらか。
- $\chi_2=5\chi_1$ で法線電流が同じなら、$E_{2n}/E_{1n}$ を求めよ。
- 二材料を電流方向に並べたとき、導電率の小さい側ほど電位の傾きが大きい理由を説明せよ。
問1のヒントを見る
ヒント: 発散定理と $\nabla\cdot\vec i=0$。
解答: $\oint_{\partial v}\vec i\cdot\vec n\,dS=0$。
問2のヒントを見る
ヒント: $E_n=i_n/\chi$。
解答: $E_{2n}/E_{1n}=1/5$。
問3のヒントを見る
ヒント: $dV/dx=-E_x=-i_x/\chi$。
解答: 同じ電流密度を運ぶため、導電率が小さい材料ほど大きな電界を必要とし、電位が急に低下する。
今回のまとめ
- 定常電流場は $\nabla\cdot\vec i=0$ を満たす。
- 材料界面では法線電流密度と接線電界が連続する。
- 電界の不連続と界面電荷が、異なる導電率をつなぐ。