液晶工学

「液晶」という用語は、現在、液晶材料を用いた表示装置(ディスプレイ)を指す用語として一般的に用いられています。しかし、これまでに液晶材料を用いた様々な機能を持つデバイスが提案されています。また、それらの中には表示装置以外でこそ真価が発揮されるデバイスがまだまだ沢山あります。

本研究室では、電気電子通信工学はもちろんのこと、他の様々な領域での問題解決に液晶を利用する研究を行っています。

セキュリティ

液晶を用いた表示装置の開発は、分子を並べる配向技術が主要なテーマでした。つまり、精度の悪い配向技術では作成した装置全体で均一な液晶分子の並びが実現できず、それは欠陥と扱われてきました。そのような中、あえて配向させず発生する欠陥の模様を唯一なパターン、すなわち、人間の指紋のような情報として扱いセキュリティに利用しようと提案しています。

福祉

液晶テレビは最終的には光っていますが、液晶素子自体は光を通し、その時に色などの光の性質を変化させています。すなわち、色が変えられる色フィルターのような利用方法が考えられれます。その機能を利用し、見分けにくい色を変化させ色の見分けをサポートする眼鏡の研究を行っています。

ライティング

ものを撮影・観察するときには光が必要となります。その際、光の方向で影が生じる場所が変わり印象も大きく変化することから、日常でも撮影・観察する際に被写体と光の位置関係を調整することを気にせず行っているでしょう。 そのような光の方向性以外にも光質があります。これは光の性質ですが人間が意識するのは影の違いであるため「硬い影」「柔らかい影」と呼ぶ方がわかりやすいかもしれません。この「硬い光」「柔らかい光」は方向性のように簡単には変えることができませんが、印象のみならず表面の凹凸情報などの見えやすさに強く影響を与えることから重要な要素となっています。 液晶を利用することで、これまでに比べて簡単に短時間で光質を変化させることを提案しています。